目 的:眼科を受診したアレルギー性結膜疾患(ACD)患者の患者背景,病型,臨床症状,治療実態などを調査すること.
対象と方法:2017年5月,8月,11月,翌年2月の各季6日間を調査期間として,国内各地域の眼科医療機関11施設で調査を実施した.調査期間中の全受診患者のうちI型ACDと臨床診断された患者を対象に,日本ACD標準QOL調査票(改変版)を用いて調査した.同意を得られた患者には血清中抗原特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体価検査を行った.
結 果:全調査期間の総受診患者数は18,467例であり,ACD患者は4.3%(785例)であった.ACDの病型ごとの割合は,季節性アレルギー性結膜炎(SAC)56.6%(487例),通年性アレルギー性結膜炎(PAC)37.0%(318例),アトピー角結膜炎(AKC)で増殖性変化を認めるものは0.5%(4例),増殖性変化なしは2.6%(22例),春季カタル(VKC)1.6%(14例),巨大乳頭結膜炎(GPC)1.7%(15例)であった.他のアレルギー疾患の合併率(776例を対象)は,アレルギー性鼻炎45.6%(354例),アトピー性皮膚炎8.9%(69例),気管支喘息6.6%(51例)であった(重複あり).血清中抗原特異的IgE抗体価の陽性率は,スギ59.7%,ヒノキ34.2%,カモガヤ28.2%,ダニ36.6%,ハウスダスト37.3%であった.
結 論:国内の眼科受診患者におけるACD患者の割合は4.3%であり,そのうちSAC患者が半数以上を占め,増殖性変化を伴う重症例は3.8%であった.(日眼会誌126:625-635,2022)