論文抄録

第126巻第7号

臨床研究

2017年度日本眼科アレルギー学会アレルギー性結膜疾患実態調査
岡本 茂樹1), 藤島 浩2), 福島 敦樹3), 宮崎 大4), 庄司 純5), 深川 和己6), 佐竹 良之7), 南場 研一8), 内尾 英一9), 高村 悦子10), 大橋 裕一11), 海老原 伸行12); アレルギー性結膜疾患実態調査グループ
1)岡本眼科クリニック
2)鶴見大学歯学部附属病院眼科
3)ツカザキ病院眼科
4)鳥取大学医学部視覚病態学
5)日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
6)両国眼科クリニック
7)東京歯科大学市川総合病院眼科
8)北海道大学大学院医学研究院専門医学系部門感覚器病学分野眼科学教室
9)福岡大学医学部眼科学教室
10)東京女子医科大学眼科学教室
11)愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻器官・形態領域眼科学講座
12)順天堂大学大学院医学研究科眼科学

目 的:眼科を受診したアレルギー性結膜疾患(ACD)患者の患者背景,病型,臨床症状,治療実態などを調査すること.
対象と方法:2017年5月,8月,11月,翌年2月の各季6日間を調査期間として,国内各地域の眼科医療機関11施設で調査を実施した.調査期間中の全受診患者のうちI型ACDと臨床診断された患者を対象に,日本ACD標準QOL調査票(改変版)を用いて調査した.同意を得られた患者には血清中抗原特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体価検査を行った.
結 果:全調査期間の総受診患者数は18,467例であり,ACD患者は4.3%(785例)であった.ACDの病型ごとの割合は,季節性アレルギー性結膜炎(SAC)56.6%(487例),通年性アレルギー性結膜炎(PAC)37.0%(318例),アトピー角結膜炎(AKC)で増殖性変化を認めるものは0.5%(4例),増殖性変化なしは2.6%(22例),春季カタル(VKC)1.6%(14例),巨大乳頭結膜炎(GPC)1.7%(15例)であった.他のアレルギー疾患の合併率(776例を対象)は,アレルギー性鼻炎45.6%(354例),アトピー性皮膚炎8.9%(69例),気管支喘息6.6%(51例)であった(重複あり).血清中抗原特異的IgE抗体価の陽性率は,スギ59.7%,ヒノキ34.2%,カモガヤ28.2%,ダニ36.6%,ハウスダスト37.3%であった.
結 論:国内の眼科受診患者におけるACD患者の割合は4.3%であり,そのうちSAC患者が半数以上を占め,増殖性変化を伴う重症例は3.8%であった.(日眼会誌126:625-635,2022)

キーワード
アレルギー性結膜疾患(ACD), 日本アレルギー性結膜疾患標準QOL調査票(JACQLQ), 血清中抗原特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体価検査
別刷請求先
〒790-0067 松山市大手町2-7-17 岡本眼科クリニック 岡本 茂樹
okamoto@eyemd.jp