目 的:光干渉断層計(OCT)における黄斑部網膜内層解析の一つであるganglion cell complex(GCC)を用いた緑内障進行判定について,3名の判定者による主観的イベント解析(スタディ①),トレンド解析(スタディ②)を行い,適切な進行判定の指針を模索した(スタディ③).
対象と方法:3年以上の経過観察期間中に,OCT(Retina Scan Duo™ 2,ニデック)のGCC解析を行い,3名の判定者いずれかが進行と判断した(スタディ①)125例125眼を対象とした.スタディ②では計1,071回分のOCT結果からGCC進行速度を算出した.視野検査による進行の有無により上記結果を比較した.
結 果:スタディ①において差分マップでは32.8±12.3か月,GCC変化量では29.1±12.7か月の時点で進行判定され,3名の検者内相関は高かった.スタディ②のトレンド解析では上GCCが-1.18±1.00 μm/年,下GCCが-1.55±1.21 μm/年の減少であった.スタディ③ として上下半網膜のいずれかにおいて年あたり2 μmの減少がみられた場合を進行とする客観的イベント解析では72%の症例が陽性となり,視野が悪化した症例の割合が有意に多くみられた(p=0.011,Fisher検定).さらに本法はスタディ①より早い段階での進行判定が可能であった.
結 論:中等度近視・初期緑内障を多く含む対象群では,RS-DUOによるGCCに基づく進行判定は,日常的に用いやすい指標として年あたり2 μmの減少が目安となることが示唆された.(日眼会誌130:101-109,2026)