論文抄録

第130巻第2号

臨床研究

ラニビズマブ長期治療における網膜静脈分枝閉塞症に伴う黄斑浮腫と前房フレア値の検討
野間 英孝1), 志村 雅彦2), 安田 佳奈子2), 後藤 浩3)
1)東京医科大学茨城医療センター眼科
2)東京医科大学八王子医療センター眼科
3)東京医科大学臨床医学系眼科学分野

目 的:網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)に伴う黄斑浮腫に対する初回ラニビズマブ硝子体内注射(IVR)後の必要に応じた再注射による24か月間の長期予後に影響を与える因子について前房フレア値も含めて後ろ向きに検討した.
対象と方法:BRVOに伴う黄斑浮腫55例(平均62.7歳,男性29例,女性26例)を対象とした.治療開始12か月以降に再注射を必要としなかった群を寛解群,一方,再注射が必要であった群を遷延群とした.中心窩網膜厚(CMT),漿液性網膜厚(TSRD)は,光干渉断層計(OCT)を用いて測定した.前房内フレア値は,レーザーフレア・セルフォトメーターで測定した.視力,CMT,TSRD,および前房フレア値の経時的変化を後ろ向きに検討した.
結 果:24か月間の平均総注射回数は4.8回であった.55例中34例が寛解群,21例が遷延群であった.寛解群,遷延群とも,視力,CMT,およびTSRDの経時的変化は,注射開始後より統計学的に有意な改善を認めたが,視力およびCMTは両群間で有意差を認めた.前房フレア値の経時的変化は,寛解群で注射開始後より統計学的に有意な低下を認めたが,遷延群では有意な低下はなかった.年齢,総注射回数,および虚血の有無に両群間で有意差を認めた.
結 論:BRVOに伴う黄斑浮腫に対するIVR後の長期視機能予後は良好であったが,炎症の持続,高齢,および非虚血型の症例では遷延する可能性があり,個別化された治療を検討する必要があると思われた.(日眼会誌130:110-117,2026)

キーワード
網膜静脈分枝閉塞症, 黄斑浮腫, ラニビズマブ, 視機能予後, 前房フレア値
Corresponding Author(別刷請求先)
〒300-0395 茨城県稲敷郡阿見町中央3-20-1 東京医科大学茨城医療センター眼科 野間 英孝
nomahide1122@gmail.com