目 的:虹彩実質囊腫を無水アルコール硬化療法で治療した1例を報告する.
症 例:20代女性.右眼虹彩実質囊腫を発見され,紹介初診した時の右視力は(1.2)で自覚症状もなかった.虹彩の第1象限を占める囊腫性病変は角膜内皮に接し,角膜内皮細胞密度は1,815 cells/mm2であった.初診から5か月の経過で膨大し囊腫が瞳孔領を覆ったので,海外からの報告に準じて無水アルコールによる硬化療法を行った.処置後,囊腫は収縮して楔状に角膜虹彩に固着し,瞳孔は回復した.1年後の最終受診時右視力は(1.5)で,角膜内皮細胞密度は1,104 cells/mm2であった.囊腫内には液体貯留がみられた.
結 論:虹彩実質囊腫に対する無水アルコール硬化療法は,良好な視機能維持が期待できる治療法として報告された.同手技は本邦でも再現可能で,治療後1年の時点で,有害事象はみられなかった.(日眼会誌130:331-335,2026)