目 的:光干渉断層血管撮影(OCTA)を用いて,網膜症を伴わない糖尿病患者(NDR)における黄斑部微小血管および網膜内層厚の5年間の経時的変化を評価し,神経血管ユニット(NVU)の損傷を検討すること.
対象と方法:本研究では,検眼鏡および超広角眼底撮影装置(OPTOSⓇ)により糖尿病網膜症の所見を認めなかった2型糖尿病患者29例48眼をNDR群として解析した.対照として,全身・眼科疾患の既往がない健常者17例27眼を含めた.全例に対し,RTVue XR Avanti(Optovue社)を用いて3×3 mmの黄斑部OCTA撮影を実施した.表層毛細血管叢(SCP)および深層毛細血管叢(DCP)の血管密度(VD)は,ベースラインおよび60か月後(以下,60 M)において,エリア別(傍中心窩,上半分,下半分,上方1/4,下方1/4,耳側1/4,鼻側1/4)に評価した.
さらに,OCT厚マップを用いて,黄斑部全体と上半・下半の網膜内層厚をベースラインおよび60 Mで測定し,各群において比較した.
結 果:NDR群では,SCPおよびDCPのVDがすべての黄斑部領域で60 Mにおいて有意に減少した(p<0.01).一方,健常群ではいずれの領域においても有意な変化は認められなかった(p>0.05).SCPとDCPのVDの減少は有意な相関を示した(r=0.702,p<0.001).また,網膜内層厚はNDR群で60 Mにおいて有意に減少した(p<0.01)が,健常群では有意な変化を認めなかった(p>0.05).
結 論:網膜症の臨床的所見を認めない段階においても,黄斑部微小血管および構造の変化が5年間で生じており,NVUの早期障害が示唆された.OCTAは,検眼鏡では捉えられない微細な血管変化を検出でき,糖尿病網膜症の極早期診断ツールとして有用である可能性がある.(日眼会誌130:336-348,2026)