目 的:線維柱帯切除術(TLE)やExpressⓇ,チューブシャント手術(GDI)などの濾過手術後に発症し経毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)を行った網膜剝離(RD)の特徴,頻度および治療経過について検討する.
対象と方法:金沢大学附属病院眼科で2012年~2022年に濾過手術(TLE,ExpressⓇ,GDI)後にRDを発症した症例を後方視的に検討した.
結 果:研究期間中の手術眼数はTLE群1,416眼,GDI群208眼で,TLE群のうち217眼はExpressⓇであった.濾過手術後にRDを発症した症例は6例6眼であり,2例が脈絡膜剝離を伴う漿液性網膜剝離(SRD)であり,4例が裂孔原性網膜剝離(RRD)であった.全濾過手術におけるRDの発症頻度はSRDでは1,624眼中2眼(0.12%),RRDでは1,624眼中4眼(0.25%)であった.症例は平均年齢70歳(範囲:54~94歳),すべて男性,5例がTLE後,1例がExpressⓇ後であった.Humphrey視野計24-2 SITA standardプログラムの術前平均mean deviation(MD)値は-19.98 dB(範囲:-29.18~-12.81 dB)であった.すべての症例でPPVを施行し,術後網膜復位が得られた.
結 論:濾過手術後にはSRDとRRDのどちらも発症し得るが,頻度は低かった.PPVにより全例で網膜復位を得ており,PPVは濾過手術後のRDに対して有効な治療法であると考えられた.(日眼会誌130:358-366,2026)