目 的:粟粒結核および結核性髄膜炎に対する多剤併用抗結核療法中に,脈絡膜結核腫を呈した症例の報告.
症 例:神経精神症状を伴う全身性エリテマトーデスを基礎疾患とする52歳女性.粟粒結核,結核性髄膜炎を発症し抗結核薬とデキサメタゾンによる全身治療中に黄視症を自覚した.左眼矯正視力は(0.6)で,左眼中心窩上方に漿液性網膜色素上皮剝離(sPED)を認めた.また左眼底鼻側網膜に少量の出血を伴う黄白色の隆起性病変を認め,光干渉断層計にて脈絡膜隆起および網膜色素上皮の不整と隆起,網膜下液および沈着物を認めた.この黄白色の隆起性病変に一致した部位で,フルオレセイン蛍光眼底造影では早期から脈絡膜新生血管が描出され,後期には旺盛な蛍光漏出を呈した.インドシアニングリーン蛍光眼底造影では早期から後期相で全体が低蛍光を呈していた.病歴より脈絡膜結核腫を疑い,副腎皮質ステロイド併用抗結核療法を継続し,黄斑部のsPEDは自然消退して左眼視力は(1.2)に回復し,黄白色の隆起性病変は経時的に縮小傾向となった.
結 論:抗結核療法開始後であっても脈絡膜結核腫や続発性脈絡膜新生血管を呈することがあり,粟粒結核治療中の眼病変の管理には注意が必要である.(日眼会誌130:592-598,2026)