目 的:網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に対する抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法後の視力予後を,治療前に撮影されたレーザースペックルフローグラフィー(LSFG)画像から深層学習(DL)を用いて予測できるかを検討すること.
対象と方法:CRVOに伴う黄斑浮腫を呈した131例131眼を対象に,治療前のグレースケールのLSFG画像から視神経乳頭(ONH)領域を切り出した.この画像に年齢などのdemographicデータを加えてDenseNet121モデルを作成し,治療6か月後の最高矯正視力が0.5未満か否かで視力良好群と視力不良群に二値分類し,5-fold cross-validationにより精度を評価した.
結 果:実測された6か月後の最高矯正視力を0.5を閾値として二値化した結果と,DLモデルによる予測結果の一致率は,視力良好群で74.3%,視力不良群で72.1%であった.Receiver operating characteristic解析では曲線下面積0.777〔95%信頼区間(CI):0.696~0.858〕,感度0.721,特異度0.743.ヒートマップ画像にてDLモデルはONH内の網膜血管領域に強い注目を示した.
結 論:治療前のLSFG画像からDLモデルを用いることで,抗VEGF治療後6か月の視力予後を比較的良好な精度で予測可能であった.本手法は,視力回復が見込まれる患者に対して前向きに治療に臨んでもらう指標となる可能性がある.今後,マルチモダリティ人工知能や長期予後予測への応用も期待される.(日眼会誌130:647-653,2026)