論文抄録

第130巻第9号

臨床研究

超低出生体重児の未熟児網膜症:単一施設における20年間の後ろ向き研究
上村 昭典, 山切 啓太, 山下 眞弘, 米満 大智, 尾曲 史夏
鹿児島市立病院眼科

目 的:単一施設において過去20年間に出生した超低出生体重児を対象に,未熟児網膜症(ROP)の発症と治療について報告するとともに,その関連因子を明らかにする.
方 法:2004~2023年に鹿児島市立病院で出生しROPスクリーニングを受けた超低出生体重児を対象とした後ろ向きコホート研究である.診療録から周産期因子,ROP発症および治療状況,併存症,治療時期,再治療の有無を抽出し,経時的変化および関連因子を評価した.
結 果:対象629例中529例(84.1%)でROPを発症し,200例(31.8%)に治療を要した.発症率は2004~2008年の97.8%から直近5年間では74.0%へと減少し,治療率も同期間で52.7%から28.9%へ低下した.発症の独立した関連因子は在胎週数〔オッズ比(OR)0.604,p<0.001〕と出生体重(OR 0.998,p=0.027)であった.治療に関連する因子は在胎週数(OR 0.752,p<0.001)と多胎分娩(OR 2.540,p<0.001)であった.Aggressive ROP(AROP)は29例(4.6%)にみられ,脳室内出血(IVH)(OR 3.470,p=0.003)が唯一の独立した関連因子であった.初回治療として網膜光凝固術を施行した児の再治療率は26.7%で,AROP(OR 21.60,p<0.001)と初回治療時の月経後胎齢(PMA)(OR 0.717,p=0.021)が関連していた.
結 論:超低出生体重児におけるROP発症率・治療率はいずれも長期的には減少傾向を示した.短い在胎週数と多胎分娩はROP治療と有意に関連していた.またIVHはAROPに関連する独立因子であった.(日眼会誌130:771-779,2026)

キーワード
未熟児網膜症, 超低出生体重児, Aggressive ROP, 網膜光凝固術, リスク因子解析
Corresponding Author(別刷請求先)
〒890-8760 鹿児島市上荒田町37-1 鹿児島市立病院眼科 上村 昭典