目 的:過去20年間における外眼部および眼表面感染症分離株の薬剤耐性率の推移を明らかにする.
対象と方法:バプテスト眼科クリニックで2004年9月~2005年11月(第一期),2014年9月~2015年11月(第二期),2022年4月~2025年3月(第三期)に培養検査を実施した外眼部および眼表面感染症患者402名を対象とし,黄色ブドウ球菌・コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のメチシリン耐性率,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)・メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)のレボプロキサシン(LVFX)感受性ならびにCorynebacteriumのLVFX耐性率を比較した.
結 果:各観察期間(第一期,第二期,第三期)におけるMRSAの割合はそれぞれ52%,22%,24%であり,MRCNSの割合はそれぞれ47%,25%,33%であった.第一期と比較して第二期のMRSA・MRCNS割合は有意に減少したが(p<0.05),第二期と第三期では有意な変化を認めなかった.MRSA・MRCNSのLVFX感受性は34%,33%,19%と低値で推移した.CorynebacteriumのLVFX耐性率は60%,54%,69%と高率を維持した.
結 論:本研究では20年間にわたり,外眼部および眼表面感染症分離株における薬剤耐性率の著明な増加は認められなかった.MRSA・MRCNSの割合は10年前と同程度であり,安定した推移を示した.一方でMRSA・MRCNSおよびCorynebacteriumのLVFX耐性率は依然として高く,LVFXは慎重に使用する必要がある.外眼部感染症の初期治療において,各菌種の薬剤耐性を考慮した適切な抗菌薬選択が重要である.(日眼会誌130:780-786,2026)