論文抄録

第128巻第5号

臨床研究

Goldmann視野計と自動視野計での身体障害者視野障害等級評価の違い
鶴岡 三惠子1)*), 平塚 義宗2)*), 井上 賢治1)
1)井上眼科病院
2)順天堂大学大学院医学研究科眼科学教室
*)本論文で等しく貢献した共同筆頭著者

目 的:視覚の身体障害者手帳(以下,手帳)申請はGoldmann視野計(GP)とHumphrey自動視野計(HFA)のどちらか一方での認定となったが,一部で結果の乖離が指摘されている.今回,同一症例でGPとHFAによる測定を行い評価を比較した.
対象と方法:2019~2022年の4年間に手帳申請のためにGPとHFAの両者による視野測定を行った症例を対象とした.GPに比べてHFAで軽症となる割合について,原因疾患による違いを年齢と性別を調整した多重順序ロジスティック回帰分析を用いて検討した.
結 果:137例が対象となり,年齢は62.1±15.0歳(平均値±標準偏差),50.4%が男性であった.原因疾患は,緑内障56例,視神経疾患28例,黄斑疾患22例,網膜色素変性が21例であった.緑内障に比べて網膜色素変性(調整オッズ比3.9,p=0.01)と視神経疾患(調整オッズ比3.4,p=0.04)でHFAでの等級が有意に軽症となっていた.年齢と性別による違いは認めなかった.
結 論:GPとHFAの身体障害者視野障害等級評価は原因疾患によって乖離する傾向がある.(日眼会誌128:410-415,2024)

キーワード
視野障害, 視覚の身体障害者手帳, Goldmann視野計, Humphrey自動視野計
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〒101-0062  東京都千代田区神田駿河台4-3 井上眼科病院 鶴岡 三惠子