目 的:明所での細隙灯顕微鏡画像から,segmentationを用いて翼状片の重症度を自動判別し,その有効性を検討した.
対象と方法:データセットとして,訓練・検証用にツカザキ病院から366眼438枚,テスト用に宮田眼科病院から142眼142枚の前眼部画像を用いた.訓練・検証用画像の半数は正常眼で,残りの半数は翼状片眼であった.角膜と翼状片の各領域に対しannotationを行い,U-Net,DenseNet-121を用いて,角膜と翼状片の各領域を検出するモデルを構築した.Segmentation結果から角膜径と角膜中心,翼状片先端位置を求め,宮田らの分類を用いて翼状片の重症度(Grade 0~3の4段階)を自動判別した.Annotation結果から判別されたGradeと自動判別との正答率を比較した.医師による臨床診断時のGradeも同様に評価した.
結 果:自動判別によるGradeの正答率は92.3%(142眼中131眼)で,4眼(2.8%)ではGradeが過大に,7眼(4.9%)では過小に判別されていた.医師による判別とannotationによる判別の比較では,69.0%(142眼中98眼)でGradeが一致し,20眼(14.1%)で過大に,24眼(16.9%)で過小に評価されていた.
結 論:Segmentation機械学習を用いた自動判別により,翼状片の重症度の判別が可能であると考えられ,臨床的に有効であることが示唆された.(日眼会誌128:416-420,2024)