目 的:Tear film breakup time短縮型ドライアイの臨床的特徴と治療効果について検討する.
方 法:77症例を対象に,症例の背景と治療前·後の自覚症状の変化について検討した.治療は人工涙液点眼を基本に,低力価ステロイド,ヒアルロン酸,自家調製低濃度シクロペントラートの点眼を用い,無効例に涙点プラグ挿入を行った.
結 果:男女比は1:3,男性は20代,女性は60代に多かった.自覚症状の発現にvisual display terminals(VDT)作業,コンタクトレンズ(CL)装用,性ホルモンの関与が,眼合併症として結膜弛緩症,アレルギー性結膜炎,マイボーム腺機能不全を認めた.点眼で自覚症状が寛解したのは19例(24.7%)のみで,37例(48.1%)に涙点プラグ挿入を要し,そのうち寛解は8例(21.6%)だけだった.
結 論:本疾患は青年期男性および更年期女性に好発し,VDT作業,CL装用,性ホルモンとの関連を認めた.従来の点眼治療では効果に限界があると思われた.(日眼会誌116:1137-1143,2012)