目 的:以前,我々は,眼合併症を伴う日本人Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)·中毒性表皮壊死融解症(toxic epidermal necrolysis:TEN)患者71人と非発症対照113人を対象に,HLA class I-A,B,Cの解析を行い,SJS/TEN発症とHLA class I,特にA*0206との間に強い相関があることを報告した.今回は,日本人SJS/TEN患者118人と前回と異なる日本人対照220人を対象に,HLA class I-A,B,Cについての再検討を行ったので報告する.
対象と方法:京都府立医科大学附属病院眼科に通院するSJS/TEN患者118例を対象とし,新たに京都府立医科大学で血液を採取した日本人非発症者220人を対照として用いた.末梢血からDNAを採取し,polymerase chain reaction-sequence specific oligonucleotide probe(PCR-SSO)法を用いてHLA class I-A,B,Cについて塩基配列レベルの解析を行い,遺伝子頻度(gene frequency:GF)と保持者頻度(carrier frequency:CF)を検討した.
結 果:A*0206が有意に増加していたが,p値は以前の報告よりさらに上昇した(p値はGF:p=0.000000007,CF:p=0.0000000002,オッズ比はGF:4.2,CF:5.2).
結 論:眼合併症を伴うSJS/TENの発症には,前回の報告よりさらにHLA class I A*0206が強く相関することが確認された.(日眼会誌116:581-587,2012)