目 的:滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対し,ラニビズマブ硝子体内注射(IVR)施行後の網膜厚·脈絡膜厚の変化を光干渉断層計(OCT)でレトロスペクティブに検討する.
対象と方法:IVR施行後,1年間経過観察できた新規AMD症例28例28眼(平均72.2歳).導入期に毎月連続3回,その後経過に応じてIVRを追加施行した.治療前,治療後1,3,6,12か月の中心窩網膜厚(CRT)および中心窩下脈絡膜厚(SCT)をOCTで測定した.
結 果:導入期3回を含めた平均治療回数は5.2回.平均CRTは治療前456 μmから1か月後337 μm,1年後280 μmへと有意に減少した(それぞれp<0.01).平均SCTは治療前225 μmと比較して,6か月後225 μm(p=0.78),1年後220 μm(p=0.45)では治療前とほぼ同様であった.
結 論:IVRは1年後までCRTを減少させた.一方SCTは,半年後,1年後では差はなかった.IVRの脈絡膜への長期的な影響は少ないと考えられた.(日眼会誌116:643-649,2012)