背 景:視神経炎における乳頭周囲網膜神経線維層(cpRNFL)の経時的変化の報告は散見されるが,神経節細胞複合体(GCC)に関する検討は少なく,我々の知る限り小児での報告はない.今回,光干渉断層計を用いて小児の視神経炎におけるGCCおよびcpRNFLの経時的変化を観察した2症例を報告する.
症 例:9歳と11歳の男児2例.2例とも急激な視力障害と相対的瞳孔求心路障害陽性,視神経乳頭の発赤·腫脹を認め,視神経炎と診断.ステロイドパルス療法を施行し,視機能は改善したにもかかわらず,GCCとcpRNFLは経過とともに急激に菲薄化が進行した.
結 論:発症後早期から黄斑部網膜内層の萎縮が生じ,治療により炎症が軽快しても,神経節細胞萎縮が進行していた.小児の視神経炎におけるGCC厚の測定は,神経線維や神経節細胞の萎縮を発症後早期に捉えることができ,病態の把握や経過観察に有用と考えられた.(日眼会誌117:1004-1011,2013)