目 的:人工涙液(AT),ヒアルロン酸ナトリウム(HA)点眼が高次収差に及ぼす影響を検討する.
対象と方法:対象は眼疾患を有さない正常群24名24眼,ドライアイ群11名11眼である.波面センサーを用い,ATおよび0.1%,0.3% HAの点眼前後の高次収差を測定した.瞬目後に10秒間の連続測定を行い,角膜および眼球全体の高次収差(コマ様,球面様,全高次)を瞳孔径4 mmで解析した.10秒間の平均高次収差(AVE),変動指数(FI),安定指数(SI)を算出した.
結 果:正常群はHA点眼の粘性に応じて,すべての高次収差成分のAVEとFIが増加した(p<0.001).ドライアイ群の角膜高次収差では,ATと0.1% HA点眼後に「のこぎり型」から「安定型」となった.
結 論:ドライアイにおいて,ATと0.1% HAの点眼は,角膜高次収差を減少させ光学的特性が改善した.HA点眼液の粘性は高次収差に影響を及ぼすことが確認された.(日眼会誌117:963-970,2013)