論文抄録

第117巻第2号

臨床研究

スーパーイーグル®プラグにおける脱落率と合併症の検討
薗村 有紀子1)2), 横井 則彦2), 小室 青2)3), 稲垣 香代子2)4), 木下 茂2)
1)公立山城病院眼科
2)京都府立医科大学視覚機能再生外科学
3)四条烏丸眼科小室クリニック
4)大阪府済生会吹田病院眼科

目 的:涙点プラグ挿入術は,重症ドライアイに対する有効な治療法であることがこれまで報告されてきている.スーパーイーグル®プラグ(SEP)の迷入率,脱落率,合併症について検討する.
対象と方法:2009年5月から2010年9月までにスーパーイーグル®プラグ(SEP)を挿入し経過観察した重症ドライアイ64例85眼148涙点〔男性10例13眼,女性54例72眼;年齢57.8±16.6歳(平均値±標準偏差);平均観察期間183.8±142.2日〕について,プラグ挿入時の涙小管内への迷入率,脱落率および脱落までの日数,脱落後の涙点拡大,肉芽形成,白色塊形成について検討した.
結 果:いずれの症例でも迷入はみられなかった.観察期間中の脱落率は57.4%で,脱落までの期間は平均92.4±82.2日間,50%のプラグが脱落する期間は154日であった.涙小管内の肉芽形成は34.5%で認められた.白色塊形成はみられなかった.脱落後の有意な涙点拡大は認めなかった.肉芽形成後52.9%に,肉芽による涙小管の完全閉塞を認めた.
結 論:SEPは迷入することなく,挿入が容易である.また,肉芽形成の可能性があり,脱落後に涙小管が完全閉塞する場合があることが示された.(日眼会誌117:126-131,2013)

キーワード
スーパーイーグル®プラグ, ドライアイ, 涙点プラグ, 脱落率
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