論文抄録

第117巻第8号

臨床研究

オートケラトメーターの再現性およびピッチの違いがトーリック眼内レンズの適応や乱視矯正効果などに及ぼす影響のシミュレーション
二宮 欣彦1), 金沢 弥生1), 小島 啓尚1), 前田 直之2)
1)行岡病院眼科
2)大阪大学大学院医学系研究科視覚情報制御学寄附講座

目 的:オートケラトメーターの再現性とピッチの違いがトーリック眼内レンズ(IOL)の用い方,乱視矯正効果に及ぼす影響の検討.
対象と方法:82例131眼に対し,オートケラトメーターのピッチの異なる(0.01 Dと0.25 D)設定で2回に分け角膜乱視を測定,0.01 Dピッチから求めた0.25 Dピッチの演算値を加えた三者で,乱視度数,軸角度,ウェブカリキュレーターによるトーリックIOLの適応·スタイルの選択,予測術後乱視を比較した.
結 果:予測術後乱視にピッチの違いによる有意差はなかった.推奨スタイル,乱視軸角度の再現性は乱視の小さい症例で低かった.角膜乱視度数の検査―再検査間の測定値の不一致の標準偏差は0.293 Dであった.
結 論:トーリックIOLの用い方は乱視が小さい場合に再現性が不良となったが,0.25 Dピッチでも許容できる感度を示した.今後,測定系やアルゴリズムの開発などの工夫が必要と考えられる.(日眼会誌117:621-628,2013)

キーワード
乱視矯正, トーリック眼内レンズ, オートケラトメーター, 再現性, ピッチ
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