論文抄録

第118巻第1号

臨床研究

Macular Integrity Assessmentを用いた正常網膜感度の検討
藤原 篤之1), 白神 千恵子1), 真鍋 紗季1), 泉端 佐枝子1), 村田 晶子1), 白神 史雄2)
1)香川大学医学部眼科学講座
2)岡山大学医学部眼科学教室

目 的:Macular Integrity Assessment(MAIA)を用いて幅広い年齢層の正常網膜感度を検討するとともに,網膜感度に影響を及ぼす因子について検討を行うこと.
対象と方法:矯正視力1.0以上を有する正常120名120眼で,平均年齢は43.1歳である.MAIAによる網膜感度測定は中心1点を含む10°以内の37点を刺激するstandard gridを用いた.
結 果:中心感度(CS)は20歳未満で28.9 dB,20~60歳で27.2 dB,60歳以上で24.5 dB,平均感度(AS)は20歳未満で29.6 dB,その後は28.7 dB,26.3 dBとなり,AS,CSともに60歳以上が20歳未満よりも有意に低い値を示し(p=0.01),回帰分析の結果,10歳の加齢に伴い0.6 dB低下した(p=0.01).感度低下への影響は高齢化と眼軸の延長が有意の関連を示した(p=0.01).視標呈示部位別の感度は,中心0°(26.4 dB)でその周囲(1°:28.9 dB,3°:28.7 dB,5°:27.8 dB)よりも有意に低い値を示した(p=0.01).
結 論:MAIAによる日本人正常眼の網膜感度は加齢に伴い低い値を示し,眼軸の延長に伴い感度が低下した.そして感度は中心0°よりもその周囲で高くなっていた.(日眼会誌118:15-21,2014)

キーワード
Macular Integrity Assessment(MAIA), 正常値, 正常眼, 網膜感度, マイクロペリメトリ
別刷請求先
〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学病院眼科 藤原 篤之
atsushi@okayama-u.ac.jp