目 的:Macular Integrity Assessment(MAIA)を用いて幅広い年齢層の正常網膜感度を検討するとともに,網膜感度に影響を及ぼす因子について検討を行うこと.
対象と方法:矯正視力1.0以上を有する正常120名120眼で,平均年齢は43.1歳である.MAIAによる網膜感度測定は中心1点を含む10°以内の37点を刺激するstandard gridを用いた.
結 果:中心感度(CS)は20歳未満で28.9 dB,20~60歳で27.2 dB,60歳以上で24.5 dB,平均感度(AS)は20歳未満で29.6 dB,その後は28.7 dB,26.3 dBとなり,AS,CSともに60歳以上が20歳未満よりも有意に低い値を示し(p=0.01),回帰分析の結果,10歳の加齢に伴い0.6 dB低下した(p=0.01).感度低下への影響は高齢化と眼軸の延長が有意の関連を示した(p=0.01).視標呈示部位別の感度は,中心0°(26.4 dB)でその周囲(1°:28.9 dB,3°:28.7 dB,5°:27.8 dB)よりも有意に低い値を示した(p=0.01).
結 論:MAIAによる日本人正常眼の網膜感度は加齢に伴い低い値を示し,眼軸の延長に伴い感度が低下した.そして感度は中心0°よりもその周囲で高くなっていた.(日眼会誌118:15-21,2014)