背 景:角膜屈折矯正手術後6か月以内に発症し,入院加療を必要とした重症な術後角膜感染症について詳細を報告し,角膜屈折矯正手術後の感染症対策について考察した.
症 例:症例は全例女性で平均年齢38歳(27~51歳)の4例6眼である.
所 見:起炎菌はキノロン耐性メチシリン感受性黄色ブドウ球菌,キノロン耐性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌,酵母型真菌,ペニシリン耐性肺炎球菌がそれぞれ1例であった.強い炎症と疼痛を伴い,抗菌薬や抗真菌薬に加え,消炎薬,鎮痛薬の全身および局所投与を要した.平均38.5日(22~77日)の入院加療を要したが,退院後に全例で最高眼鏡矯正視力0.5以上に回復した.
結 論:角膜屈折矯正手術後の重症感染に遭遇した場合,起炎菌の同定を行い,初期治療への反応が弱ければ,専門施設に搬送することが視機能温存に寄与すると考えられた.(日眼会誌119:855-862,2015)