目　的：原発開放隅角緑内障（広義）（POAG）患者における診療所移転に伴う眼圧変動について検討する．
対象と方法：対象はPOAG 224例224眼で，同一の非接触眼圧計（CT-90A）を用いて眼圧測定を行い，診療所移転前の2014年5月の値（IOP514）と，移転後の同年6月，7または8月の値（各々IOP614，IOP7814）を比較した．診療所移転に伴う非接触眼圧計の系統誤差の有無を調べるために，IOP614とIOP514につき，Bland-Altman分析を用いて検討した．
結　果：IOP614は12.2±2.7 mmHg（平均値±標準偏差）で，IOP7814は12.1±2.7 mmHgであり，IOP514（13.1±2.9 mmHg）に比し，有意に低かった（各々p＜0.001）．交感神経β遮断薬投与群，プロスタグランジン関連薬投与群とも，IOP614はIOP514に比し，有意に低かった（各々p＜0.001）．眼圧季節変動の影響を考え，診療所移転1年前の眼圧を補正した検討でも，移転後の眼圧は移転前に比し，有意に低かった（p＜0.001）．また，比例誤差はみられなかった（r=0.082，p=0.999）．
結　論：同一の非接触眼圧計を用いた眼圧測定において，POAG患者では診療所移転に伴い，眼圧変動がみられた．（日眼会誌119：451-456，2015）