目的:緑内障患者では,早期から立体視機能が低下するという報告がある.今回,緑内障ならびにpreperimetric glaucomaの患者に近見・遠見立体視検査を行い,結果を検討した.
方法:近見立体視はTitmus stereo test,遠見立体視はDistance RandotⓇ stereotestを用いて測定した.
結果:近見・遠見立体視機能ともに,対照群(77名)と比較して緑内障群(229名)では有意な低下がみられたが,preperimetric glaucoma群(36名)では有意差はなかった.緑内障群で,近見立体視機能低下と有意に関連があるのは年齢と中心暗点数,遠見立体視機能低下と有意な関連があるのは年齢だけであった.
結論:近見・遠見立体視機能は緑内障患者で不良であった.また中心5度以内に暗点がある緑内障患者では,近見立体視機能不良の可能性があり注意が必要である.(日眼会誌120:303-309,2016)