目 的:急性期の真菌性角膜炎に対し,角膜後面のプラークを外科的に除去し,前房内を洗浄することで,診断および治療につながった症例を経験したので報告する.
症 例:56歳,女性.感染性角膜炎で近医より紹介.角膜実質の浅層から深層にかけて羽毛状の白色病巣と角膜後面に白色の巨大プラークを認めた.診断確定と炎症改善および減菌を目的として,角膜後面プラークの外科的除去および前房内洗浄を行った.採取したプラークからはフィブリンにまとわりつく多数の好中球とファンギフローラ染色陽性の糸状菌を検出した.術翌日より炎症は軽減し,感染巣は徐々に縮小し,術後6週で完全に消失した.その後,点眼を漸減しても再燃なく経過している.
結 論:角膜後面にプラークを持つ真菌性角膜炎に対して,外科的に行うプラーク除去は治療選択肢の一つになりうる.(日眼会誌120:640-645,2016)