論文抄録

第121巻第5号

臨床研究

ぶどう膜悪性黒色腫の臨床的検討
禰津 直也, 後藤 浩, 馬詰 和比古, 上田 俊一郎, 柴田 元子
東京医科大学臨床医学系眼科学分野

目 的:ぶどう膜悪性黒色腫の臨床的特徴を明らかにする.
方 法:1992年から2014年までの間にぶどう膜悪性黒色腫と診断された125例125眼を対象に,後ろ向きに調査した.
結 果:診断確定時の平均年齢は58.1歳で,脈絡膜由来が全体の93%,毛様体は4%,虹彩は3%であった.診断の契機は視力低下が27%,視野障害が17%のほか,無症状で発見された症例が16%を占めていた.腫瘍の大きさは平均で長径10.4 mm,厚さ7.2 mmであった.治療法は眼球摘出が53例,局所切除が4例,重粒子線療法が18例,小線源療法が4例に施行された.眼外転移は22%にみられ,そのうちの89%は転移発覚後5年以内に死亡した.眼球摘出施行例のうち,病理組織学的に13.6%の症例で強膜外浸潤がみられ,その5年生存率は20%であった.
結 論:ぶどう膜悪性黒色腫は転移を来した後の生命予後がきわめて不良であるため,早期診断,治療とともに眼局所治療後の診療体制の確立,転移病巣に対する新規治療法の開発と普及が望まれる.(日眼会誌121:413-418,2017)

キーワード
ぶどう膜悪性黒色腫, 転移, 強膜浸潤, 治療, 予後
別刷請求先
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学臨床医学系眼科学分野 禰津 直也
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