総説
単純ヘルペスウイルスの進化と潜伏感染の成立
林 皓三郎, 下村 嘉一
近畿大学医学部眼科学教室
単純ヘルペスウイルス感染症は抗ウイルス薬(アシクロビル)によりウイルス増殖は有効に阻止できる.しかしその病態は複雑で,特に潜伏感染に伴う病変はさまざまであり依然として未解決の問題が多い.最近の単純ヘルペスウイルスの潜伏感染についての急速かつ詳細な分子生物学的解明は,このウイルス感染についての免疫病理発生の理解と診断・治療に格段の進歩をもたらしている.角膜ヘルペスを中心にその概説を試みた.(日眼会誌121:695-706,2017)
キーワード
単純ヘルペスウイルス1型, 潜伏感染, latency-associated transcripts(LATs), infected cell protein 0(ICP0), microRNA(miRNA)
別刷請求先
〒182-0021 東京都調布市調布ヶ丘1-26-8 林 皓三郎
kozaburo@yc4.so-net.ne.jp
受付:2016年9月6日 改訂受理:2017年4月20日
利益相反:下村嘉一(カテゴリーF:参天製薬,千寿製薬)
日本眼科学会雑誌
121: 695-706,2017