目 的:強度近視・近視性脈絡膜新生血管患者の腸内細菌叢を分析し,その特徴について評価する.
対象と方法:強度近視群36例(平均50.9歳,男性13名,平均眼軸長29.7 mm)と対照群33例(平均39.8歳,男性14名,平均眼軸長25.4 mm),近視性脈絡膜新生血管の既往がある患者群15例(平均49.2歳,男性7名,平均眼軸長30.0 mm)とそうでない群54例(平均44.6歳,男性20名,平均眼軸長27.0 mm)の腸内細菌叢を分析し比較した.
結 果:強度近視群ではg_Bacteroides,g_Anaerostipesの存在率が有意に高く,g_Collinsella,f_Streptococcaceae.g_,g_Lactococcus,f_Ruminococcaceae.Other,f_Desulfovibrionaceae.Other,g_Serratia,g_Ralstoniaの存在率が有意に低かった.また近視性脈絡膜新生血管の患者群ではg_Holdemaniaの存在率が有意に高く,逆にo_Clostridiales.Other.Other,g_Turicibacterの存在率が有意に低かった.
結 論:女性被検者が多い強度近視患者群の腸内細菌でg_Bacteroidesの存在率が高かった知見は,むしろ予想される結果と逆であり非常に興味深く,さらに分析が必要であると考えられた.(日眼会誌122:733-743,2018)