背 景:脈絡膜血管腫に著しい滲出性網膜剝離を伴った場合,治療によって腫瘍の活動性を抑えることは困難な場合が多い.今回,硝子体手術とシリコーンオイル充填を行い,網膜を復位させた直後に光線力学的療法を施行し,病態の改善が得られた症例を経験したので報告する.
症 例:51歳,女性.左眼の黄斑耳側に直径9 mmの孤立性脈絡膜血管腫を有し,初診時から広範な滲出性網膜剝離と脈絡膜剝離も生じていた.治療法として硝子体手術により意図的裂孔からの網膜下液排液により網膜を復位させ,液空気置換後にシリコーンオイル注入充填を施行した.術後4日目に光線力学的療法を施行した.その後も滲出性網膜剝離は消退を維持し,腫瘍部の隆起性病変も平坦化したため,2か月後にシリコーンオイル抜去を行い,その後2年間にわたり腫瘍と滲出性網膜剝離の再発はみられていない.
結 論:高度な滲出性網膜剝離を伴う孤立性脈絡膜血管腫に対し,硝子体手術により網膜を復位させてからシリコーンオイル下で光線力学的療法を施行することで,脈絡膜血管腫の活動性を低下させ,視機能を維持することが可能であった.(日眼会誌123:1071-1077,2019)