論文抄録

第123巻第2号

臨床研究

ぶどう膜炎の診断における血清可溶性インターロイキン2受容体の意義
松島 亮介, 臼井 嘉彦, 馬詰 朗比古, 坂井 潤一, 後藤 浩
東京医科大学臨床医学系眼科学分野

目 的:2015年に改訂されたサルコイドーシスの診断基準では,血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)値の上昇が含まれることになったが,血清sIL-2R値は他の炎症性疾患でも上昇することが報告されている.そこでサルコイドーシスと種々のぶどう膜炎患者の血清sIL-2R濃度を測定し,サルコイドーシスの診断における血清sIL-2Rの意義について検討する.
対象と方法:東京医科大学病院眼科で診断されたサルコイドーシス24例とサルコイドーシス以外のぶどう膜炎152例を対象に,血清sIL-2R濃度を測定した.
結 果:サルコイドーシスでは,他のぶどう膜炎(Vogt-小柳-原田病,Behçet病,急性前部ぶどう膜炎,ヘルペスぶどう膜炎,その他,分類不能ぶどう膜炎)と比較して,有意に血清sIL-2Rが高値であった.
結 論:サルコイドーシスの血清sIL-2R値は他のぶどう膜炎よりも有意に上昇していたが,症例によってはサルコイドーシス以外のぶどう膜炎でも高値を示すことがあり,診断に際しては総合的な判断が必要であることが改めて確認された.(日眼会誌123:156-160,2019)

キーワード
サルコイドーシス, ぶどう膜炎, 血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)
別刷請求先
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学臨床医学系眼科学分野 松島 亮介
Ryosuke_ume_0205@ybb.ne.jp