論文抄録

第123巻第3号

評議員会指名講演II

第123回 日本眼科学会総会 評議員会指名講演II
生体イメージングと眼病理
脈絡膜新生血管の生体イメージングと病理相関
髙橋 寛二
関西医科大学医学部眼科学講座

本総説では,加齢黄斑変性(AMD)などの血管新生黄斑症の主病態として重要な脈絡膜新生血管(CNV)を標的病態として,光干渉断層計(OCT)および光干渉断層血管撮影(OCTA)による生体イメージングと,それに相関する病理組織所見との臨床-病理相関について解明した研究成果を述べた.
基礎実験としてマウス眼に作製した大きく発育するレーザー誘発CNVモデルを用いて,OCTAによるCNVの撮像を行い,OCTAで得られたCNVイメージと脈絡膜伸展標本の抗CD31抗体,抗platelet-derived growth factor receptorβ(PDGFRβ)抗体,抗α-smooth muscle actin(α-SMA)抗体,抗I型コラーゲン抗体による免疫組織化学染色像とを比較検討した.その結果,CNVのpericyte-like scaffoldの周辺部に発生する線維化がOCTAでのCNVの検出を妨げ,OCTAイメージではCNV面積が過小評価される可能性があることを見出した.
次に日本人に頻度の高いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)の摘出標本の病理組織所見を明らかにし,臨床で撮像されたPCV症例のOCTA所見との相関について検討した.その結果,病巣を形成する血管自体の病理組織学的構造とその周囲環境の理解がOCTA像の読影に重要であることが判明した.
また滲出型AMDの2型CNVのOCTA-病理相関を確認したところ,2型CNVには,網膜下で密な毛細血管増殖を示すタイプ(毛細血管増殖型)と比較的太い血管が網膜下でループ状に発育するタイプ(ループ状血管型)の2種のサブタイプがあることを見出し,特に後者はPCV由来であると考えられた.
最後に,脈絡膜の肥厚を来すpachychoroid spectrum疾患群の脈絡膜のOCT像と病理組織の相関について検討し,その病態には脈絡膜の静脈拡張と脈絡毛細血管の脱落が関与することを見出した.その結果に基づいて本疾患群の主な病態であるPCVの発症機序を考察した.
本総説によって,OCT/OCTAによる正確なCNVイメージの読影には,疾患や病態の眼病理学的な理解が重要であり,それがより確実な診断と治療につながることを強調したい.(日眼会誌123:284-311,2019)

キーワード
脈絡膜新生血管, 光干渉断層血管撮影, 眼病理, ポリープ状脈絡膜血管症, 加齢黄斑変性, pachychoroid spectrum疾患群
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