論文抄録

第124巻第12号

臨床研究

周期性斜視9例の臨床像と治療経過
堤 典子1)2), 仁科 幸子1), 吉田 朋世1), 横井 匡1), 東 範行1)
1)国立成育医療研究センター眼科・視覚科学研究室
2)順天堂大学附属浦安病院眼科

目 的:周期性斜視9例を内斜視,外斜視に分け,臨床像と治療経過に違いがあるか検討する.
対象と方法:2003年~2018年に国立成育医療研究センターで治療した周期性斜視9例(内斜視8例,外斜視1例)を後ろ向きに検討し,過去の報告と比較した.
結 果:周期性斜視の発症年齢は3~8歳で,急性発症が7例,調節性内斜視からの移行が2例であった.周期は48時間5例,24時間3例,72時間1例であった.斜視のない日は全例正位,立体視40~100秒,斜視の日は斜視角30~60 prism diopters(PD),両眼視は不良,4例に複視の訴えがあった.6例は周期が崩れ恒常性となった.全例に手術を施行し,術後眼位は正位となり,周期は消失した.外斜視1例は術3年後より近視性不同視と近見30 PDの輻湊不全型外斜視を生じ,眼鏡装用と輻湊訓練を施行,6 PDの外斜位となった.術後6~157か月にて,全例が眼位正位かつ良好な立体視を保持している.
結 論:周期性斜視の手術治療経過は良好であったが,外斜視では輻湊不全に対する治療を要した.(日眼会誌124:995-1002,2020)

キーワード
周期性内斜視, 周期性外斜視, 輻湊不全, 手術, 立体視
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