目 的:非感染性ぶどう膜炎に対するアダリムマブの治療成績を検討し,無効例・奏効例の臨床的特徴を分析する.
対象と方法:2017年1月1日から2018年12月31日までに地域医療機能推進機構大阪病院を受診し,アダリムマブを6か月以上投与できた非感染性ぶどう膜炎25例44眼について,年齢,性別,原因疾患や罹患期間,導入時から6か月後にかけての眼内炎症の変化や,プレドニゾロンおよびその他の併用治療の変化を後ろ向きに検討し,無効例と奏効例の2群に分類した.奏効例の判定基準はいずれかに改善がみられ,悪化する項目がないものである.
結 果:25例中20例(80%)でアダリムマブは奏効した.導入6か月後に視力(p=0.03)および前房炎症(p=0.0006)が有意に改善したが,硝子体混濁や網膜浮腫は改善しなかった.単変量回帰分析の結果,アダリムマブの無効にはプレドニゾロン以外の併用薬がないこと(p=0.01)や,長期の罹患期間(p=0.02)が有意に関連した.年齢やプレドニゾロンの投与量はアダリムマブの有効性に関連しなかった.
結 論:アダリムマブは80%で非感染性ぶどう膜炎に有効であるが,プレドニン単独治療例,長期経過例では奏効しない可能性がある.(日眼会誌124:424-431,2020)