目 的:治療維持期の視力不良な滲出型加齢黄斑変性(nAMD)患者における視力と固視の関連について検討すること.
対象と方法:治療維持期のnAMD患者のうち矯正視力が0.5以下でかつマイクロペリメーター(MP-3)を使用した固視検査が測定可能であった69例69眼を対象とした.患眼の固視(固視安定性,固視位置,中心窩・固視点間距離)を評価し,患眼視力との関連について検討した.また,患眼小数視力別の固視について層別解析を行った.最後に,患眼視力と関連する因子について多変量解析にて検討した.
結 果:患眼平均視力のlogarithmic minimum angle of resolution(logMAR)値は患眼の固視安定性,固視位置,中心窩・固視点間距離が不良となるほど悪化し,有意な関連を認めた(p<0.001).層別解析においては,患眼小数視力別の群間比較で,患眼固視安定性の程度の割合に有意差を認めた(p=0.015)が,中心窩に固視範囲が含まれる割合には有意差を認めなかった(p=0.404).多変量解析では,患眼視力のlogMAR値は,患眼固視安定性(p=0.015),患眼中心窩・固視点間距離(p=0.001)と有意に関連していた.
結 論:治療維持期の視力不良なnAMD患者において,患眼の固視安定性と中心窩・固視点間距離は患眼視力が不良となるほど悪化していた.(日眼会誌124:465-471,2020)