目 的:非共同性斜視に対する手術成績と満足度について検討する.
対象および方法:2017年1月~2018年10月までに非共同性斜視に対し兵庫医科大学病院眼科で斜視手術を施行した83例(平均年齢56.5±15.3歳)を対象とした.対象を水平群,上下群(回旋偏位の合併を含む),複合群(水平・上下偏位の合併)の3群に分類し,対象の内訳,手術成績,両眼視機能,複視消失率,National Eye Institute Visual Function Questionnaire-25(VFQ25)による満足度について後ろ向きに検討した.眼位,立体視,VFQ25は,術前と術後6か月で比較した.立体視はスコア化して有意検定を行った.
結 果:水平群は15例,上下群は38例,複合群は30例で,眼位と立体視は術後すべての群で有意に改善した(p<0.001)が,複視消失率は水平群76.9%,上下群91.4%,複合群61.5%で複合群が有意に低かった(p=0.030).VFQ25はすべての群で有意に改善し(p<0.001),各群で有意差はなかったが,複視の有無で比較すると複視消失群で有意に満足度は高く(p<0.001),術後立体視スコアとも有意な相関を認めた(p<0.001).満足度は,代償不全性上斜筋麻痺と甲状腺眼症が,動眼神経麻痺に比べ高い結果となった(p=0.032).
結 論:上下群の複視消失率が最も高かった.術後満足度には,複視消失と立体視が有意に関与していた.斜視の種類により術後の満足度が異なることが分かった.(日眼会誌125:16-21,2021)