論文抄録

第126巻第8号

臨床研究

2018年に行われた視覚障害認定基準改正後の視野障害認定状況―三重県における調査報告―
大久保 沙彩, 生杉 謙吾, 一尾 多佳子, 竹内 真希, 近藤 峰生
三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学

目 的:2018年7月に視覚障害に関する身体障害者手帳の認定基準が改正された.この改正により視野障害は「Goldmann型視野計(GP)による認定」から「GPまたは自動視野計(AP)のどちらか一方での認定」が可能となった.今回我々は三重県における視覚障害認定者を対象に認定基準改正後の視野障害認定状況を調査したので報告する.
対象と方法:対象は2018年7月~2020年3月に三重県にて新規に視覚障害の認定を受けた全405例(男性221例,女性184例)である.対象者の身体障害者診断書・意見書から視野障害認定例における原因疾患,測定に用いられた視野計の種類,認定等級などを調査した.
結 果:視野障害認定例(視力障害認定との重複を含む)は,視覚障害例全体の80.0%であった.視野障害の原因疾患は,緑内障(46.9%),網膜色素変性(17.3%),糖尿病網膜症(10.2%)の順に多かった.視野障害の認定に用いられた視野計は,GPが69.8%,APが30.2%であった.認定等級については2級および5級が全体の96.3%を占めた一方,3級および4級はあわせて3.7%であった.
結 論:2018年に行われた視覚障害認定基準改正後の視野障害認定状況について調査結果を報告した.新たに導入されたAPによる認定例は30.2%であり,2級および5級が全体の96.3%を占めた.(日眼会誌126:703-709,2022)

キーワード
視覚障害, 視野障害, 身体障害者手帳, 自動視野計, 緑内障
別刷請求先
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