目 的:Myelin-oligodendrocyte glycoprotein抗体陽性視神経炎(MOGON)は再発しやすいにもかかわらず,再発予防の戦略は明確ではない.MOGONのプレドニゾロン(PSL)単剤内服による維持療法の有用性と減量方法の検討を行ったため報告する.
対象と方法:MOGON患者25名を対象に維持療法の有用性について,診療録を用いた後方視的研究で評価した.初発後にPSL単剤による維持療法を半年以上継続した群(維持療法あり群)と半年以内に終了した群(維持療法なし群)に分類し,再発率を比較した.PSL減量方法の評価のため,初発後5年以内に起きた視神経炎発作(初発,再発を含む)38発作に関して,発作後2か月で10 mg以上かつ6か月で5 mg以上かつ8か月で1 mg以上とPSL内服を漸減した発作(slow tapering群)と,PSLを内服しない,あるいは発作後2か月で10 mg以下かつ/あるいは6か月で5 mg以下かつ/あるいは8か月で1 mg以下と急速に減量した発作(rapid tapering群)に分類し,再発割合を比較した.
結 果:初発時の年齢〔中央値(範囲)〕は46(20~72)歳,男性11例,女性14例,経過観察期間は62(6~140)か月であった.維持療法あり群(14例)では維持療法なし群(11例)よりも年間再発率が有意に減少した〔維持療法なし群vs. 維持療法あり群;0(0~0.49)/年vs. 0(0~0.32)/年,p<0.05〕.PSL減量方法の検討では,slow tapering群(16発作)はrapid tapering群(22発作)と比較して再発割合を減らすことができた(発作後の再発割合:slow tapering群25.0%,rapid tapering群63.6%;オッズ比0.20;95%信頼区間0.03~0.94,p<0.05).
結 論:MOGONでは初発時に十分な維持療法を行うことでその後の再発を減らすことができる可能性があり,特に発作後の緩徐なPSL減量が再発予防に有効と考えられる.(日眼会誌127:1103-1109,2023)