論文抄録

第128巻第2号

臨床研究

大学医学部におけるロービジョンケア教育実態調査
石子 智士1)2), 張替 涼子3), 清水 朋美4), 藤田 京子5), 川瀬 和秀6)7), 鎌田 さや花8), 守本 典子9), 村上 美紀10)11), 辻 拓也12)13), 斉之平 真弓14)15)
1)旭川医科大学眼科学講座
2)森山病院眼科
3)新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野
4)国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部
5)愛知医科大学眼科学講座
6)安間眼科
7)名古屋大学医学部医学科・大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室
8)京都府立医科大学眼科学教室
9)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学
10)むらかみ眼科医院
11)産業医科大学眼科学教室
12)つじ眼科
13)久留米大学医学部眼科学講座
14)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科眼科学
15)宮田眼科病院

目 的:全国の大学医学部における医学生ならびに研修医・医局員に対するロービジョンケア(LVC)教育の実態を明らかにすること.
対象と方法:全国82大学を対象としたアンケート調査を実施した.
結 果:回答率は100%であった.LVC関連講義を行っていたのは35大学(42.7%)であった.臨床実習でLVC関連教育を行っていたのは60大学(73.2%)であった.講義も臨床実習も行っていない19大学(23.2%)のうち本調査をきっかけに今後LVC教育の組み入れを検討したいと回答したのは17大学(89.5%)であった.LVC教育を研修医に対して行っていたのは46大学(56.1%)であった.研修医にも他の医局員にもLVCに関する卒後教育を行っていないのは35大学(42.7%)で,このうち医学生へのLVCの卒前教育も行っていないのは13大学(15.9%)であった.ロービジョン外来を開設している大学および視覚障害者用補装具適合判定医師研修会(以下,医師研)修了者の勤務している大学では,そうではない大学と比べ,それぞれ有意にLVCの卒後教育が行われていた(いずれもp<0.01).
結 論:医学生への医学部教育としてLVC関連講義を行っている大学は半分に満たなかったが,臨床実習には7割以上で取り入れられていた.卒後教育としてLVC教育を行っている大学は約6割であった.LVC教育を行っていない大学を卒業しその母校に入局することで,LVC教育を受ける機会のない眼科医が増え続けることが推測された.LVCの卒前・卒後教育の推進に向けて,医師研などLVCに関する研修機会の提供と修了者を活用した教育体制の拡充が重要と思われた.(日眼会誌128:103-112,2024)

キーワード
ロービジョンケア(LVC), 医学生, 医学部教育, 臨床研修, 視覚障害者用補装具適合判定医師研修会
Corresponding Author(別刷請求先)
〒078-8392 旭川市宮前2条1-1-6 森山病院眼科 石子 智士
ishiko@asahikawa-med.ac.jp