目 的:典型加齢黄斑変性(典型AMD),ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)で初回治療として光線力学療法(PDT)を行った症例の5年間の視力経過をPDT導入前患者と比較する.
対象と方法:PDT導入前に5年以上経過観察されていたA群連続23眼(典型AMD 16眼,PVC 7眼)と,初回治療としてPDTを行い適宜PDTまたは抗血管内皮増殖因子薬の硝子体内注射の追加治療を行ったB群連続61眼(典型AMD 25眼,PVC 36眼)の視力経過を後向きに比較した.
結 果:平均logarithmic minimum angle of resolution(logMAR)視力で,典型AMDは,A群において初診後3年で有意に低下,B群では2年目以降で視力低下の収束傾向を示し5年後も有意な低下はなかった.またB群はA群に比べ5年視力維持率は高い傾向にあり(logMAR視力≦1.0,42% vs 25%),視力変化量も有意に小さかった.PCVではB群で一時的な視力維持改善がみられたが,5年では両群とも悪化傾向を示し,視力変化量に有意差はなかった.
結 論:典型AMDに対する初回PDT治療により視力悪化は早期収束し,長期的にも治療効果がみられた.(日眼会誌116:937-945,2012)