論文抄録

第116巻第2号

臨床研究

ネパフェナク懸濁性点眼液0.1%の眼科手術後の炎症および眼痛に対する第III相臨床試験
沼賀 二郎1), 矢田 浩二2), 三宅 三平3), 齋藤 伊三雄4), 矢部 伸幸5), 林 研6), 野下 純世7), 宮田 和典8), 塙本 宰9)
1)東京都健康長寿医療センター眼科
2)矢田眼科医院
3)眼科三宅病院
4)北野病院眼科
5)大島眼科病院
6)林眼科病院
7)村上華林堂病院眼科
8)宮田眼科病院
9)小沢眼科内科病院

目的:ネパフェナク懸濁性点眼液0.1%の白内障手術以外の内眼部手術の術後炎症および眼痛に対する有効性および安全性を検討する.
対象と方法:硝子体手術,線維柱帯切除術,レーザー虹彩切開術,レーザー線維柱帯形成術およびレーザー後嚢切開術の予定患者を対象に多施設共同,オープン試験で検討した.
結果:全手術の治癒率,眼無痛率はそれぞれ85.6%(95/111),91.0%(101/111)であった.硝子体手術,レーザー虹彩切開術およびレーザー後嚢切開術の治癒率は80.4%(45/56),93.3%(14/15)および94.6%(35/37),眼無痛率は85.7%(48/56),100%(15/15)および94.6%(35/37)であった.有害事象は22例(19.6%)23件が報告された.因果関係を否定できない有害事象はアレルギー性結膜炎が1例(0.9%)に認められ,軽度で,治療により消失した.
結論:ネパフェナク懸濁性点眼液0.1%は,白内障手術以外の内眼部手術の術後炎症,眼痛にも有用な薬剤であると考えられた.(日眼会誌116:86-94,2012)

キーワード
ネパフェナク懸濁性点眼液, 術後炎症, 眼痛, 硝子体手術, レーザー手術
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