目的：日本人眼の近視laser in situ keratomileusis（LASIK）術前後の眼圧を，Goldmann圧平眼圧計（GAT），非接触眼圧計（NCT），Dynamic contour tonometer（DCT）で比較し，術前の角膜曲率と眼圧値，術前後の中心角膜厚（CCT）の変化量の影響を前向きに検討する．
対象と方法：対象は，2006年3月から9月までに宮田眼科病院において近視矯正LASIKを施行した53例106眼（男性26例，女性27例）．年齢31.3±7.9歳（平均値±標準偏差），矯正量-5.3±2.3 Dであった．術前4週以内と術後1か月時に，3法による眼圧とCCTを3回測定し，その平均値を解析に用いた．
結果：術後の眼圧値は，3法とも有意に低下したが，DCT測定での変化量（-0.9±1.7 mmHg）はGAT（-3.6±2.1 mmHg），NCT（-4.7±1.9 mmHg）に比べ有意に小さかった（p＜0.001，Tukey多重検定）．3法とも術前の眼圧値が大きいほど眼圧値の低下が大きくなった（p＜0.001）．CCT減少量ではGATとNCTのみで有意な相関がみられた（p＜0.015）．
結論：DCTによる眼圧測定は，日本人眼での近視LASIK術後でも眼圧値の変化は少なく，LASIK術後眼の眼圧検査に有効であると考えられた．（日眼会誌116：367-373，2012）