目的:羊膜移植の適応と効果を明らかにする.
対象および方法:1998年4月から2008年3月までの10年間に京都府立医科大学眼科で羊膜移植を施行した304眼の疾患,術式と術後経過をレトロスペクティブに検討した.
結果:疾患は翼状片145眼,瘢痕性角結膜上皮症93眼,腫瘍性疾患22眼,遷延性上皮欠損15眼,結膜弛緩症12眼,緑内障11眼,その他が6眼であった.術後1年以上の経過観察を行った翼状片99眼の再発率は6.1%であった.瘢痕性角結膜上皮症の内訳は眼類天疱瘡30眼,化学外傷·熱傷29眼,Stevens-Johnson症候群23眼,その他11眼であり,93眼中88眼(94.6%)で癒着解除と結膜嚢再建を得た.腫瘍性病変は良性腫瘍12眼,悪性腫瘍10眼であり,腫瘍切除後の再建に羊膜を用いた.全例において羊膜に起因する合併症を認めなかった.
結論:羊膜移植は翼状片の再発抑制や眼表面再建に有用である.(日眼会誌 116:374-378,2012)