論文抄録

第116巻第7号

臨床研究

0.1%ブリモニジン酒石酸塩点眼液と0.5%チモロールマレイン酸塩
点眼液の呼吸器および循環器機能に及ぼす影響
新家 眞1), 足立 満2)
1)公立学校共済組合関東中央病院
2)昭和大学医学部呼吸器·アレルギー内科

目 的:0.1%ブリモニジン酒石酸塩点眼液(以下,ブリモニジン)の呼吸器および循環器機能に対する影響を,0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液(以下,チモロール)を対照薬として検討する.
対象と方法:呼吸器および循環器系疾患のない高齢者ボランティア100例を対象に,ブリモニジンあるいはチモロールを4週間点眼投与し,呼吸器機能,血圧,脈拍数,12誘導心電図に及ぼす影響を無作為化単盲検並行群間比較試験により比較した.
結 果:呼吸器機能の主たる評価項目として汎用されている1秒間の努力呼気量(FEV1.0)において,チモロール群はブリモニジン群よりも有意な低下を示した.ブリモニジン群の収縮期血圧は,チモロール群よりも有意に低下した.チモロール群の脈拍数は,ブリモニジン群よりも有意に低下した.両薬剤群とも12誘導心電図に,特記すべき異常所見や異常変動は認めなかった.
結 論:ブリモニジンは呼吸器へのリスクがチモロールより低い緑内障治療薬である.(日眼会誌116:623-634,2012)

キーワード
ブリモニジン, チモロール, 緑内障, 呼吸器機能, 循環器機能
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