目 的:走査レーザー検眼鏡のレトロモードを用いて,滲出型加齢黄斑変性患者の加齢黄斑変性のない僚眼について,ドルーゼンに加え,従来の検査で検出不能な網膜色素上皮病変を同定できるか検討する.
対象と方法:片眼性滲出型加齢黄斑変性患者(19例)の僚眼に対し,ドルーゼンとそれ以外の網膜色素上皮病変について,従来のカラー眼底写真,蛍光眼底造影(ニデック社製F-10)および光干渉断層計所見(トプコン社製OCT-1000)と走査レーザー検眼鏡型眼底カメラ(F-10)を使用したレトロモード所見を比較検討した.
結 果:各種ドルーゼンについては従来の検査に比べ,レトロモードではすべての症例において,より明瞭に同定できた.また,従来法では検出不能な網膜色素上皮レベルの微細顆粒状病変(minute granular lesions:MGL)がレトロモードによりドルーゼンの近辺およびドルーゼン不明な例にも認められた
結 論:従来の検査法に比べ,レトロモードを用いるとドルーゼンはより明瞭に検出できた.さらにレトロモードで検出される網膜色素上皮のMGLはドルーゼンの近傍に認められるため,ドルーゼン前駆病変の可能性がある.(日眼会誌116:635-642,2012)