目　的：下半周で行った初回Schlemm管外壁開放術併用線維柱帯切開術の長期成績の検討．
対象と方法：初回緑内障手術例100例128眼を対象とした．36眼では内皮網除去も併用（併用群）し非併用群と比較検討した．
結　果：原発開放隅角緑内障（primary open angle glaucoma：POAG）では，非併用群術後3年の平均眼圧は14.6 mmHg，併用群15.4 mmHg，Kaplan-Meier生存解析では目標20 mmHg以下の場合，非併用群62.2%（術後8年），併用群45.7%（5年）であった．発達緑内障（developmental glaucoma：DG）はPOAGと同等で，両病型とも内皮網除去の有無で差はなかった．落屑緑内障（exfoliation glaucoma：XFG）の非併用群では術後3年で平均17.8 mmHg，生存率（3.5年）25.2%とPOAGより不良であったが，併用群では術後2年の平均15.4 mmHg，生存率（4.5年）64.3%と，POAGと同等であった．視力低下は13%にみられたが，白内障が主因であり上半周での報告と同等であった．
結　論：下半周で行っても本術式の眼圧値は上半周で行った報告と同等であった．XFGの成績はPOAGより不良であったが，内皮網除去を併用したものに限ると同等であった．（日眼会誌116：740-750，2012）