論文抄録

第117巻第10号

臨床研究

糖尿病黄斑浮腫に対する術前治療の有無による硝子体手術成績の比較
新沢 知広1), 新井 みゆき1), 高綱 陽子1)2), 忍足 俊幸1), 佐藤 栄寿1), 山本 修一1)
1)千葉大学大学院医学研究院眼科学
2)千葉労災病院眼科

目的:びまん性糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術成績について,術前にトリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射(STTA),マイクロパルスダイオードレーザー閾値下凝固(SMDLP),ベバシズマブ硝子体内注射(IVB)の治療を施行した群と術前治療なしに手術を施行した群で比較する.
対象と方法:びまん性糖尿病黄斑浮腫に対して硝子体手術を施行し,術後6か月以上の経過観察が可能であった43例46眼を対象とした.STTA,SMDLP,IVBの治療後に手術を施行した19例20眼(前治療あり群),前治療のない24例26眼(前治療なし群)について,視力と中心窩網膜厚で比較検討した.
結果:両群ともに,視力は術後3か月より,中心窩網膜厚は術後1か月より有意に改善した(p<0.001).両群間の比較では有意差はみられなかった.
結論:前治療の有無で術後経過に有意差は認められず,同等の改善効果が認められた.(日眼会誌117:785-792,2013)

キーワード
びまん性糖尿病黄斑浮腫, 硝子体手術, トリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射, マイクロパルスダイオードレーザー閾値下凝固, ベバシズマブ硝子体内注射
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