目的:明所視力が良好な緑内障患者の暗所視機能を測定すること.
対象と方法:奈良県立医科大学附属病院眼科外来にて緑内障と診断された30歳から59歳までの患者のうち,両眼とも矯正視力が1.0以上であり,Humphrey静的視野計での平均偏差値が両眼とも-6 dBまでの群(初期群とする)と両眼とも平均偏差値が-6 dBを超える群(中期以降群とする)に分類したうえで暗所視機能を測定した.さらに,年齢と性別をマッチさせた屈折異常以外に眼疾患のない正常群との比較も行った.
結果:初期群26例,中期以降群22例,正常群23例で検討した結果,3群間での暗所視機能に有意差を認め,緑内障患者において視野障害が高度になると暗所視機能が低下することが示された.
結論:今後,暗所視機能があらたな緑内障の視機能評価として用いられる可能性を示したものと考える.(日眼会誌117:808-811,2013)