論文抄録

第117巻第2号

臨床研究

角膜曲率半径および眼軸長と生まれ月
枩田 亨二1), 横山 連2), 松本 英樹3), 山下 理恵子3), 河野 剛也4), 白木 邦彦4)
1)まつだ眼科
2)大阪市立総合医療センター小児医療センター小児眼科
3)眼科松本クリニック
4)大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学

目 的:遠視は秋生まれに発症しやすい.この傾向に角膜曲率と眼軸長がどのように関係しているかを明らかにする.
方 法:眼内レンズ度数決定のため角膜前面曲率半径と眼軸長の測定を行った40歳以上の白内障患者のデータを後向きに検討した.3施設の合計4,056例を対象に,生まれ月別の角膜曲率半径の平均値および眼軸長の平均値を求め,グラフ化して生まれ月との関係を調べた.検定は出生季節で分散分析を行った.
結 果:眼軸長と生まれ月の間に一定の関係は認められなかった.一方,角膜曲率半径は3施設のすべてで同様の生まれ月との関係が認められ,10~12月生まれの角膜曲率半径は大きい傾向を示した.眼軸長は出生季節による差はないが(p=0.907),角膜曲率半径には有意差が認められた(p<0.001).
結 論:角膜曲率と生まれ月との間には関係が存在する.乳児期に角膜の発育が光環境の季節変動の影響を受けることが遠視の発症に関与している可能性が考えられる.(日眼会誌117:102-109,2013)

キーワード
生まれ月, 出生季節, 遠視, 角膜曲率, 眼軸長
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〒590-0503 泉南市新家2965 まつだ眼科 枩田 亨二
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