目 的:遠視は秋生まれに発症しやすい.この傾向に角膜曲率と眼軸長がどのように関係しているかを明らかにする.
方 法:眼内レンズ度数決定のため角膜前面曲率半径と眼軸長の測定を行った40歳以上の白内障患者のデータを後向きに検討した.3施設の合計4,056例を対象に,生まれ月別の角膜曲率半径の平均値および眼軸長の平均値を求め,グラフ化して生まれ月との関係を調べた.検定は出生季節で分散分析を行った.
結 果:眼軸長と生まれ月の間に一定の関係は認められなかった.一方,角膜曲率半径は3施設のすべてで同様の生まれ月との関係が認められ,10~12月生まれの角膜曲率半径は大きい傾向を示した.眼軸長は出生季節による差はないが(p=0.907),角膜曲率半径には有意差が認められた(p<0.001).
結 論:角膜曲率と生まれ月との間には関係が存在する.乳児期に角膜の発育が光環境の季節変動の影響を受けることが遠視の発症に関与している可能性が考えられる.(日眼会誌117:102-109,2013)