論文抄録

第117巻第4号

臨床研究

近視性脈絡膜新生血管に対するペガプタニブナトリウム硝子体内投与1年後の治療成績
北川 貴子, 湯澤 美都子
日本大学医学部視覚科学系眼科学分野

目 的:近視性脈絡膜新生血管(近視性choroidal neovascularization:近視性CNV)に対するペガプタニブナトリウム硝子体内投与1年後の治療効果を明らかにする.
対象と方法:対象は,2009年7月~12月にペガプタニブナトリウム0.3 mgを6週おきに硝子体内投与し1年経過観察ができた中心窩下あるいは傍中心窩下の近視性CNV 30例31眼.視力,中心12度以内の網膜感度,病変の最大直径,M-CHARTS®(イナミ社,日本)を用いた変視量を投与前,投与1年後でWilcoxonの検定を用い比較検討した.
結 果:平均logarithmic minimum angle of resolution(logMAR)視力は投与前0.49±0.38,投与1年後0.47±0.35(p=0.56),平均網膜感度は投与前7.48±3.69 dB,投与1年後8.15±4.18 dB(p=0.24)であった.病変の平均最大直径は投与前1,217 μm,投与1年後1,041 μm(p=0.0021)で有意に縮小した.平均変視量は縦で投与前0.85±0.68,投与1年後0.50±0.39(p=0.016),横で投与前0.81±0.74,投与1年後0.47±0.41(p=0.017)と有意に改善した.投与回数は平均3.1回であった.全例,投与後に有害事象は認めなかった.
結 論:近視性CNVに対するペガプタニブナトリウム硝子体内投与1年後では,視力,網膜感度で維持が得られ,変視の改善が得られた.(日眼会誌117:344-350,2013)

キーワード
近視性脈絡膜新生血管, ペガプタニブナトリウム, 硝子体内投与, 1年後, 維持
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