背 景:Ring melanomaは悪性黒色腫が毛様体に180度以上輪状に浸潤する非常にまれな疾患であり,本邦での報告はまだない.外傷緑内障の治療中に超音波生体顕微鏡(UBM)所見が重要な契機となって発見されたring melanomaの症例を報告する.
症 例:44歳女性.左眼鈍的外傷後の眼圧上昇で紹介受診した.
所 見:初診時左眼矯正視力1.2,眼圧30 mmHg.左眼隅角の約半周に隅角離開を認め,外傷緑内障として加療したが眼圧コントロールは不良であった.その後,急速に虹彩膨隆と水晶体偏位が出現し,UBMによって進行性の毛様体全周の肥厚がみられた.前房水の細胞診,positron emission tomography-computed tomography(PET-CT)での集積亢進から,毛様体悪性黒色腫として左眼の眼球摘出を行い,病理組織学的にring melanomaと診断した.
結 論:難治性緑内障のまれな鑑別疾患としてring melanomaも考慮すべきである.(日眼会誌117:364-370,2013)