論文抄録

第117巻第5号

臨床研究

防腐剤添加から防腐剤無添加のカルテオロール塩酸塩点眼液への変更によるオキュラーサーフェスおよび眼圧への影響
近間 泰一郎1), 新家 眞2), 西田 輝夫3)
1)広島大学大学院医歯薬学総合研究科視覚病態学教室
2)公立学校共済組合関東中央病院
3)山口大学

目的:緑内障患者を対象に,防腐剤無添加カルテオロール塩酸塩点眼液2%(PF)によるオキュラーサーフェス障害発生軽減効果ならびに眼圧下降効果を,防腐剤添加カルテオロール塩酸塩点眼液2%(MK)と比較検討する.
対象および方法:MKとラタノプロスト点眼液(XL)を4週間併用点眼した緑内障患者79例について,カルテオロール塩酸塩点眼液2%をMKからPFに変更したPF+XL併用点眼群40例と変更しなかったMK+XL併用点眼群39例に無作為に割付け,12週間点眼した.角結膜上皮障害スコアと眼圧をベースライン,点眼後4,8および12週時に測定した.
結果:角結膜上皮障害スコアは,両群ともに点眼後12週間大きな変化はなかった.眼圧は,両群ともにベースラインと比較して4週以降に有意な減少を認め,同等な推移を示した.
結論:オキュラーサーフェス障害発生軽減効果については両群間に差は認められなかった.また,眼圧値は両群ともにベースライン検査時より有意に下降したが,両群間に差は認めらなかった.(日眼会誌117:419-426,2013)

キーワード
緑内障, 防腐剤無添加, カルテオロール塩酸塩点眼液, オキュラーサーフェス障害, 眼圧下降
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